セルフケアは日頃から
セルフケアというのは実はいざという時のためのものではなく、日々こまめにやっておいて不調を出しにくくするためのものです。スポーツの前後に行う準備運動、整理運動と同じと考えてください。
例えばスマホを長時間見ていて目の疲れや腕の疲れからいずれ肩こりになるとすれば、スマホを1時間使ったら目や腕の緊張を取るためにストレッチや軽い体操をする、とか、肉体労働をしていて腰痛になりやすい人なら、仕事の休憩時間に背中、腰、脚などの緊張を取ったり、疲れてきて腰に負担をかけやすい動きに変わってきた自分の動きをリセットする運動などをする、などといった感じです。
いずれも疲れ感や軽い症状のうちになら何とかなりますが、セルフケアだけでは疲れが抜けない、症状が軽くならないとなったら治療を受けるタイミングです。
多くの人はまだ動けるからとその状況を放置して日常生活に支障が出てから治療を受けることが多いのですが、日常生活に支障が出るレベルになると、症状も全身の状態が絡んで複雑になっていて治療にも時間がかかりますし、健康な状態ではしないような動きが癖になって身についてしまっているために目に見える症状を治してもまた生活の中で同じ状態を繰り返すことが多くなります。
この段階でより効果の高いセルフケアを探す人もいますが、この段階でセルフケアで成果を出すのはかなり難しいです。
効果の高い低いに関わらず、セルフケアというのは指定された通りにやらないとかえって症状を悪化させることもあります。
不調のない状態であればこそ、精度の低いやり方でもそこそこの効果で日々のセルフケアとして役立ちますが、何らかの症状が出て不調に陥っている時というのは、自分の身体の状態を正確に感じ取る能力も鈍っているので、指定された通りにやっているつもりでもそのようにできていないということがほとんどです。
リラックスした状態でやって下さいと指定されてもそもそも自分の身体が緊張していることに気づけないのでやればやるほど緊張が増す、みたいなことはよく見られます。緊張の蓄積はやがて関節を痛めることやその他の症状を引き起こすこともあります。良かれと思ってやったことが状況を悪くすることもあるのです。
しかしながら、セルフケアが無意味ということではありません。
日々セルフケアを行なっていると、今日は緊張しにくいなとか、どうもこの動きがやりにくいな、とか日々の身体の変化に気づくはずです。
普段なら1日で取れていた緊張が2,3日しても取れない。おや、と生活を見直してみると最近睡眠不足だから、今日ちょっと早めに寝よう、などと自分の生活を見直したり、不調に陥らないためのヒントにも気づけるようになります。
毎朝ラジオ体操をする、毎朝散歩する、などの運動習慣は、身体を動かして、日々身体を調整すること自体にも意味がありますが、自分の身体の状態を知る指標にもなるので、不調になる前の段階で修正できるので健康にいい、という面も間違いなくあります。
勉強せずにテストの時だけいい点数を取るのは無理ですし、日々の仕事の雑な人が社運を賭けた大一番でだけうまくこなすなんてのも無理な話です。護身術を1回だけ習って咄嗟の危険に対処できるわけもないですし、自然災害や、雑踏の混乱などでパニックを起こさずに行動できるのは避難訓練などをして備えている人でないと難しいわけです。
セルフケアというのは予防のためのものですから、日々の疲れが自分では手に負えない不調まで育たないようにするために日々やっておけば予防になりますし、さらに自分の手に負えるか、負えないかを判断する指標にもなります。
セルフケアは日々こまめにやってみてください。